2.花粉症の原因と対策

※花粉症の原因


「花粉症」「アレルギー」の一種で、アレルギーとは特定の物質に対して過敏に反応することを言います。

アレルギーの原因となる異物を「アレルゲン(抗原)」と言い、
花粉症の場合のアレルゲンとは、原因植物の花粉に含まれる物質を指します。

アレルゲン(花粉)に長年接触すると、アレルゲン(花粉)に反応して、体内に「抗体」という特殊なたんぱく質が作られます。

抗体とアレルゲンは、マスト細胞と呼ばれる細胞の表面で、決まったもの同士が結合することで
抗原抗体反応が起こり、その結果、マスト細胞から炎症を引き起こすヒスタミンなどを放出させ、
目や鼻の粘膜などに作用して、花粉症の症状があらわれます。 

花粉症を含めたアレルギー性疾患は一種の過敏症です。

従って、大多数の花粉は、元来人体にはさほど害のない物質なのですから、
多少の花粉を吸い込んでも、健康な人には害はないはずなのです。

ところが長年、ある種の花粉を吸い込み続けるとアジュバント作用が起こり、花粉を有害なものとして、
身体が認識してしまうのです。

一度でも、花粉を有害物質(外敵)だと認識してしまうと、

それを追い出す為に、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの花粉症の症状が生じるのです。
(※アジュバント作用=身体が特定の物質(花粉など)を、外敵だと認識する為の補助作用。)

それ以外にも、遺伝的要因影響するようです。

例えば、子供の頃のアトピー性皮膚炎気管支喘息食物アレルギー薬剤によるショック症状など、
両親がアレルギー体質場合、子供もアレルギー体質になり易い事が統計数字的に証明されています。

(但、遺伝とはいっても、遺伝子の問題というより、親の食生活の偏りや、生活環境により、
同じ体質にならざるを得ない状況等が根本的原因と考えられます。)

「花粉症」の原因植物といえば、1963年に東京医科歯科大学耳鼻咽喉科の斉藤洋三氏らにより発見された、
「スギ花粉症」が最も有名ですが、現在では、約40種類もの花粉症の原因植物が報告されています。

先ず、樹木ではハンノキ(1月中旬~5月下旬)、杉(2月~5月上旬)、檜(3月~5月)、
シラカンバ(3月下旬~6月)小楢、クヌギ(4月下旬~5月下旬)、があります。

そして、イネ科のスズメノテッポウ、スズメノカタビラ(2月下旬~5月下旬)、
カモガヤ(5月~7月)、イネ(7月~8月上旬)、オオアワガエリ(5月~6月)等。

外来種では、くわ科のカナムグラ(8月下旬~10月)、キク科のヨモギ(8月~10月)、ブタクサ(8月~10月)、
セイタカアワダチソウ(8月~10月)、等がよく知られていますが、
実は、
セイタカアワダチソウ等は「虫媒花」である為、原因植物の可能性は低いと思われます。
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これらの植物の開花時期に注意して、予防する事は勿論重要なのですが、
実は「花粉症」という名前はついていても、原因は花粉だけではない事が分かっています。

例えば、何千年も前から日本には、たくさんの杉があったのに、近年になって花粉症が多くなったのは、
生活環境や、私たちの体質の変化によるいくつかの原因があると考えられます。

その要因の一つが大気汚染です。車の排気ガスや工場の煤煙などで空気が汚れ塵埃が増え、
花粉に付着して私たちの体内に、有害な物質を取り込むのです。

大気汚染物質の中でもディーゼル排気中の微粒子(DEP)は、アジュバント作用があり、
花粉だけを吸い込むよりも、花粉とDEPを一緒に吸い込むことにより花粉症になる可能性が高くなります。

また、花粉症の患者は自動車交通量の多い、排気ガス(窒素化合物)で汚染されている地域に
圧倒的に多いという報告からも、大気汚染との関連性は、無視できない事実である事がわかります。

他にも、農薬殺虫剤などの合成化学物質「シックハウス」という言葉を有名にした接着剤(ホルムアルデヒト)
アレルギーを起こす物質を含んだ建築材、食品に含まれる添加物等の物質的要因も考えられます。

その他、都市開発によりコンクリート化された為に、本来地面に吸収される筈の花粉の大気中を浮遊する量が
増えた為、住居の気密化により通気性が悪くなり、ダニや埃が溜まりやすくなった等の理由も考えられます。

そして戦後の日本復興では、建築材としてスギ、ヒノキの植林を奨励したのですが、
その木々が丁度、もっとも花粉を飛ばす大きさに成育していることも一因のようです。

この様に「花粉症」は、外部的要因、人為的要因である大気汚染や、食品の汚染等、
環境変化によるものが多く、「文明病」「現代病」ともいえるかもしれませんね。


                          

※花粉症の対策


花粉は晴れて風の強い日(雨上がりの翌日は要注意!)によく飛びます。

このような日の外出は出来るだけ控えるのがベストですが、忙しい現代人は、そういう訳にも行きませんよね。(ーー;) 
どうしても外出しなければならないときは、マスクやメガネを着用しましょう。
帽子を被るのも髪に花粉をつけないために有効です。

そして、外出から帰宅後は、髪や衣服についた花粉を充分に落とし、家の中に浮遊させない事が重要です。

掃除の時以外は、室内への花粉の侵入を防ぐために、窓は完全に閉めておいて下さい。
布団や洗濯物を取り込む際には、花粉を十分に払い落とす事が重要です。
もちろん手洗いとうがいもお忘れなく。

また、花粉症の原因となる雑草が身近に生えていたら、なるべく、除草しておくのも一つの手ですけど
自分の宅地の敷地外は、いろいろ問題があるかもしれませんね。

治療を受けている方は、先生からの「薬の指示や生活指導は必ず守る」事を心掛けてください。。

お薬は花粉症の程度や患者さんの体質などを考慮して使われていますので、
勝手に
投与量を変えたり中止しては効果を得られなかったり、大変危険な場合も多々あります。

部屋の中は常に整頓や掃除をマメに。特にカーペットやベッドの下は念入りに掃除してください。
掃除機を使う時は、窓を開けて噴出口を室外に向け、室内に埃が浮遊しない様にします。

また、過労や精神的ストレスはアレルギー症状発症の発端症状悪化の原因になります。
充分な睡眠と、規則正しい生活を心がけてください。勿論、喫煙や飲酒もなるべく控えめに(^_^;)。

また、風邪をひくと鼻の粘膜が弱くなり、抵抗力が落ち、症状悪化の原因になります。
日々の健康管理には充分注意して下さいね。(*^_^*)   



ここで花粉症に効果が期待できる食物(栄養素)をいくつかご紹介しましょう。


鶏胸肉
免疫機能を正常に保つ為に必要なビタミンB6が不足するとアレルギー症状が出やすくなるといわれています。
牛レバー0.89mg、鶏レバー0.65mgと比べて鶏むね肉100g当たりにはビタミンB6が1.06mgも含まれています。
レバーは疲労回復や抵抗力を補う鉄や、鼻喉粘膜を保護するビタミンA、亜鉛が豊富に含まれています。

シソ種子、シソの葉
ヒスタミンが肥満細胞から放出するのを阻害する効果が報告されており
シソの葉や種子に含まれるルテオリンというフラボノイドの一種は、抗酸化物質の中でも最も強力といわれ、
アレルギーの炎症を引き起こす物質「ロイコトリエン」を作り出すのに必要な酵素を阻害し、
鼻づまりやせき、のどの痛みなどをやわらげ、体の免疫力をアップしてくれます。

また、不飽和脂肪酸のひとつα-リノレン酸にはアレルギー症状を抑え、コレステロールや老廃物を溶かし、
血の流れをスムーズにする作用があります。
さらに、シソの葉の香に含まれる「ペリルアルデヒド」は気分を爽快にし鎮静する働きがあります。

そして体内でIgE抗体が過剰に作られるのを抑制するはたらきがあり、
アレルギー症状を抑える効果があるといわれているα―リノレン酸も多く含まれ、アレルギー予防効果もあります。
IgE抗体の分泌を促進して花粉症の症状を増長する原因物質であるTNF(免疫細胞から作られる生理活性物質)
の産生を抑える作用があり、花粉症の原因を根元から抑えることができます。
この効果は、シソに含まれるフラボノイドの一種「ルテオリン」が関係するといわれています。

甜茶(てんちゃ)

中国南部原産の甘みのあるお茶の総称で、砂糖の75倍の甘みがあり、
中国南部の広西壮族自治区に生息する甜茶の一種バラ科の甜茶懸鈎子に含まれる甜茶ポリフェノールが、
花粉症などの鼻アレルギーを引き起こすヒスタミンを抑制する効果があるといわれています。
また、甜茶は濃度が高いほど効果があることが、さまざまな実験でわかってきています。
 
ルイボスティー
南アフリカでは「不老長寿のお茶」「万病に効くお茶」といわれており、

抗酸化力の強いフラボノイドを含んでいます。
ハトムギ

抗酸化成分が豊富で、アレルギーによる炎症を抑え、症状を軽減するといわれています。
ハーブ(エキナセア、エルダーフラワー、カモミール、セルビルム、タイムなど)
抗アレルギー作用があるといわれています。

トマト
  
トマト果皮ポリフェノールの花粉症改善作用があり、
加工用トマトの果皮に含まれる、ポリフェノールの一種ナリンゲニンカルコンには、
肥満細胞からのヒスタミンの放出を防ぐ効果があることが報告されています。

魚介類さば、あじ、いわし、鯛など
青魚に多く含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は免疫力の働きを正常化し、
アレルギー症状を抑える働きがあると言われています。
また、白身魚に多い良質のたんぱく質にも免疫機能を清浄に保つ働きがあります。
ただし、魚介類はアレルギー反応を誘発する可能性が高いので注意しましょう。

ヒスタミン同様にアレルギーを引き起こす物質ロイコトリエンは細胞膜の脂肪酸が変化して出来ます。
魚介類に多く含まれるEPAやDHAなどの脂肪酸を多く摂取すると、
ロイコトリエンの原料となる細胞膜の脂肪酸(アラキドン酸など)がEPAやDHAに置き換わり、
ロイコトリエンなどができにくくなると言われています。

EPAは真鰯・魬・鯖・鰻・秋刀魚・真鯛等に多く含まれます。
DHAは、本鮪のトロ・鯖・鰻・秋刀魚・鰤・真鯛など
に含まれます。

黄杞(こうき)
中国南部の山中に自生するクルミ科の常緑樹で、
その葉を乾燥させたものが「甘茶」と言われて古くから利用されてきました。
その成分のアスチルビンにヒスタミン遊離抑制作用が確認され、花粉症の症状に利く食品として注目されています。

緑茶
緑茶などに含まれるカテキンにはアレルギー症状を引き起こすヒスタミンが過剰になるのを調整する作用があります。
カテキンは緑茶と同じ茶葉から作られる紅茶やウーロン茶からも摂ることができますが、
働きがもっとも強力といわれるエピガロカテキンガレートが圧倒的に多く含まれているのが緑茶です。
緑茶カテキンは抗酸化ビタミンとして知られるビタミンEの20倍、ビタミンCの10倍の効力をもっているといわれています。
また、インフルエンザやピロリ菌などウィルスの感染を抑えてくれます。

ヨーグルト
食品の中で、腸内環境健康に保つ働きをする善玉菌がもっとも多く含まれているのがヨーグルトです。
特にプロバイオティクスのヨーグルトは胃酸で分解されずに腸まで届
くので有効です。
同じ発酵食品では納豆や味噌、醤油、ぬか漬け、酒かすなど、日本独自の発酵食品にも、
腸内環境を整える善玉菌を増やすはたらきがあるといわれています。

花梨
柑橘系の植物には、咳や鼻水、のどの炎症を抑える効果があり、
中でも花梨は喉に炎症を起こす花粉症に一定の効き目があります。



最後に…、
花粉だけを厄介者扱いせずに、
根本的原因の改善(環境破壊や、生活習慣)について関心を持って、
花粉症に苦しまない未来を創る為に出来る事を、考えて頂けると嬉しいです。


 
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